ポルトガル人のシェフ、ヌノ・メンデス氏が2010年3月東ロンドンにオープンした人気のレストラン、ヴィアジャンテ(旅人)にやって来ました。立派な門構え。市庁舎を改装したとのこと。入ると右手がバー、レストランは左手にあります。
インテリアもすっきりしていて落ち着く空間です。
ランチメニューはおまかせが3種類(3コースか6コースか9コース。ただし9コースは早めの入店が必要です)です。それぞれのお食事とワインのマリアージュのコースもあります。ワインリスト等を眺めながらゆっくりしているとアミューズブーシュが出されてきました。左からアマランスとソイバ、蟹のコロッケ、タイ風サンド(Thai explosionII)。この順番で食べて下さいとのこと。アマランスはまさに日本のおこし、蟹コロッケは蟹味噌入りで濃厚。タイ風サンドはヴィアジャンテの象徴的一品のようです。こぶみかんの葉のアクセントが効いたグリーンカレー風味でした。お上品で美味しい!この先に何が出てくるか考えただけで気分も盛り上がります。
次のアミューズブーシュはヒラメと海のハーブ(日本人からしてみれば"海藻"です)。レッドカラント添え。ヒラメは半生状態です。そしてこのヒラメの大きさ何と直径2センチ程度。え?これだけ?と思わせるのが興奮状態を持続させる秘訣なのかも知れません。
次も小さな小さな一皿。3センチ程度の新じゃがの網脂包み、イーストのペーストとオリーブの粉です。畑から掘り出したばかりのじゃがいものイメージぴったりです。
ここでメニューを聞かれます。迷わず6コースに。ここまで魅力的なアミューズブーシュが出されたら6コースにするという選択肢以外には考えられません。こちらはパン。手前がベーコンとくるみのパン。奥がポテトのパンです。
バターも2種類出されます。左手はホイップしたブラウンバター。鶏脂とイベリコハム入り。右手は干し草でスモークしたバター。くるみと黒い塩が乗っています。
前菜1品目。メンデス氏自らが運んできてくれました。さばとサワーチェリーのシャーベット。ソースはレタスとホースラディッシュ風味のソースです。一見面白い組み合わせなのですが、どことなく懐かしい感じが・・・。器もお味も何となく和風なのです。サバのお刺身と梅干しにわさび??美味しい!
前菜2品目は冬かぼちゃ。ミルクの膜にかぶされて出てきます。上にはパルメザンチーズとラードが乗せられています。冬かぼちゃはこの一皿に3種の食感です。半生ピクルス風、蒸したもの、マッシュしたもの。これだけシンプルな食材をここまで感動的な一品にするとは!!敬服。
前菜3品目はパン粥。手長エビ、ジロール茸、とうもろこし、有機飼育した鶏の卵の黄身乗せ。手長エビの火の通し方が絶妙です。さすがはシーフードを知りつくした国ポルトガルにルーツを持つシェフ。お粥はフェンネルときのこのおだしで炊かれています。
お魚料理は低温調理(おそらく)された鱈。胃袋のシチューとカリカリポテト添え。
お肉料理はイベリコポーク、にんにくのピュレと穀物のシリアル添え。私にはにんにくピュレとポークの相性が若干難しいように感じました。炭火で焼いてシンプルに塩コショウが良かったかもしれません。
デザートの前の一品。色々きゅうりと低脂肪ミルクのシャーベット。こちらも感動の一品。ピクルス、スモーク、ゼリー、生の4種のきゅうりにミントのオイルがかかっています。それぞれのきゅうりとミルクのシャーベットのバランスが絶品!甘さも大変やわらかくさっぱりしています。きゅうりの良さが存分に引き出されていました。デザートというよりはお食事の延長のような感覚で楽しむことが出来ました。
デザートはビーツのシャーベット。土に見立てたのはダークチョコレート。ビーツを干したお菓子(干しいものような感じです)も添えられていました。こちらも甘さが程よく美味しい一品です。
ここからプティフールのお時間。次に出されたのはポルトガル風のプリン。ここでようやく普通のデザートの甘さに。それでも優しい甘さ。
お次はチョコレート。きのこ味です。
すぐに食べて下さい、と言って出されたのは液体窒素で固められたオリーブオイル。口に入れるとキャラメルのようにとけていきました。最後の最後まで本当に色々楽しませてくれました!!
メンデス氏は世界一予約が取れないレストラン、エルブジ(しばらくお休み中ですが・・・)でもインターンをしていたことがあるとか。旅人というレストラン名だけあって世界各国の影響を受けた独創的なお料理の数々は驚きと感動の連続。目で楽しませてくれる美しい演出と、量ではなく品数というところが懐石料理にも通じるところがあります。料理はまさにアートだということを感じさせてくれた大満足のレストランでした。まだまだ開拓範囲は浅いですが、これまでの私のロンドンナンバーワンです。
メンデス氏はロフトプロジェクトという次世代育成プロジェクトも行っているとか。料理に対する情熱を感じます。
メンデス氏の定位置 |
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