2013年2月9日土曜日

The Fat Duck

本日は少し遠出。パディントン駅から電車で約45分。
目的の駅はMaidenhead駅。ここからさらにタクシーで5分。目指すはThe Fat Duck。スターシェフ、そして「キッチンの錬金術師」の異名を持つヘストン・ブルメンタールのレストランです。予約を受け付けるのは2か月前からですが、すぐに受付終了となるくらい予約の取りにくい人気のレストランです。
着いたところは閑静な住宅街。タクシーの運転手さん曰く、お金持ちの方が沢山住んでいる地域なのだそうです。ここですよ、と案内されたのは教えられなければ通り過ぎてしまいそうな普通の家です。
でも良く見るとちゃんと主張されています!!

中に入ると教室くらいのスペースに沢山の椅子とテーブルが並べられています。テーブルとテーブルの間の距離は比較的近くて賑やかな感じです。あまり気取った感じはしないけれど、さりげないよそ行き感があって落ち着きます。内装は白とベージュを基調にしたシンプルなもの。テーブルのお花も壁にかけられた絵もシンプルで素敵です。














すばらしい皮の表紙の立派なメニューを眺め、14品のテースティングメニューをお願いします。今日は新鮮なホタテ貝も入荷されているとのことなので、日本食好きのウェイターさんのお勧めに従い、一品ホタテ貝を入れて頂くことにしました。まずは印象的なコバルトブルーのお皿に乗せられたこれまた鮮やかな紫色の小さな一口サイズのおつまみ。こちらはサクサクしたビーツとホースラディッシュのマカロンもどき。食欲がそそられます。








続いてテーブルに小さなサイドテーブルが用意されます。ヴォッカとライムサワー、ジントニック、カンパリソーダのどれが良いですか?と聞かれます。それぞれの味はエスプマーに入っていて、それをスプーンで取って液体窒素の中で固められます。本当に楽しい素敵な演出。

最後に上に抹茶の粉やカンパリの粉やレモンの皮が乗せられます。そして、口に入れる直前のタイミングで柑橘系のスプレーがまかれます。



嗅覚、視覚、味覚全ての感覚が最大限に開花されます。口に入れた時の冷たさとさわやかな味が口の中をさっぱりさせてくれました。

Nitro Poached Aperitifs
-Vodka and Lime Sour-
Nitro Poached Aperitifs
- Campari Soda-













続いてはマスタードのアイスクリームの上にキャベツのガスパッチョが注がれました。マスタードとキャベツの酸味が楽しい一品。そして色も限りなく紫で美しい。味はすばらしく美味しいかと言えばそうでもないのですが、小さなポーションだとなぜか有難く感じます。


Red Cabbage Gazpacho

パンは白と黒の二種類。いずれももちもちで小麦粉の味がしっかりとしてとても美味しかったです。バターも濃厚。

続いて小さな二つの器が運ばれてきました。

Jelly of Quail, Crayfish Cream

一つは木の器の上に乗ったトリュフのトースト。もう一つには鶏肉のレバーのパフェが。















続いてテーブルの上に苔のついた木箱が運ばれます。上にはフィルムケースが乗っていて、まずフィルムを舌の上に乗せて下さいと言われます。言われたとおり下に乗せると、きのこなど、森を感じさせる味がします。



苔の上に鉄瓶で水が注がれると、あら不思議、もくもくと白煙が出てきました。













トリュフのトーストとチキンレバーのパフェとその下に隠れているうずらの煮凝りを頂くと、何だか本当に森の中にいる気分になってきます。



続いてはかたつむりのおかゆ。かたつむり、カラス麦、イベリコハムが入っています。上には生のフェンネル。緑の味が濃い面白いおかゆでした。お酒を飲んでいないので、少し塩辛さを感じます。
Snail Porridge

続いては本日のお勧めのホタテ貝。本来のテースティングコースはフォアグラですが、これはその代わり。上は一見ホタテ貝に見えますが、実は大根。中にほたての肝のムースが入っています。こちらは素直に美味しい一品でした。







こちらがテースティングのコースのフォアグラ。昆布の上に乗っています。パリパリのシートは蟹の味。美しい色のソースはルバーブです。全てを一緒に頂くとすばらしいハーモニー。こちらは素材の持つ力とシェフの実力を語る一品でした。


Roast Foie Gras

続いてテーブルの上には不思議な国のアリスのしおりが置かれます。これから狂った帽子屋のお茶会が開かれるのだそう。
金箔に包まれた懐中時計(ティーバック)を
お湯の入ったティーポットに入れて[「時計回りに」ぐるぐるポットを回すと
あらあら不思議。コンソメスープが登場します。これを下に置かれたティーカップに注ぐと



素敵なコンソメスープの出来上がり!このコンソメはMock Turtle Soupと言われ、アオウミガメのスープを模して作ったもの。1850年代のレシピです。

Mad Hatter's Tea Party

このスープには中にパンのトーストが入ったサンドイッチがついてきました。カリカリしていて不思議な感覚です。


続いて出てきたのは、大きな貝殻に入ったiPod。


そして砂の上に盛られた素敵な一品が運ばれてきます。まずは音楽を聞きながら食べて下さい、とのこと。











磯の香りがやさしく砂浜にいる気分になります。食べ終わったころお店の方がやってきて、これはさば、ヒラメと鮑だったことが説明されます。下に敷かれている砂もどきはシラスやパン粉、タピオカ、昆布などを混ぜてそれらの水分を取ったものだそう。科学を感じる面白い一品でした。公開されているレシピを見ると日本の食材が沢山使われています。こちらに合わせるお酒はもちろん日本酒でした。こちらが本日の一番のお気に入り料理になりました。

続いてはリコリス(甘草)のゼリーに包まれたサーモン、鱒の卵乗せ。アーティチョークとバニラマヨネーズが添えられています。こちらは極めて普通の一品。きっとものすごく難しい技術が駆使されている一品だと思うのですが、完成品の味はどこにでもありそうな普通のお料理になってしまっていました。

Salmon Poached in a Liquorice Gel

デザート前最後の一品は鹿肉のステーキ、ビーツ添え。やわらかくて美味しいお肉でした。コチラの方はビーツが好きなようです。この一品、素材が良いので結局ソースは何でも良いように思えました(シェフに失礼?)。変に工夫をするより塩コショウとハーブで頂いた方が私にとっては美味しいい気が・・・。
Saddle of Venison

付け合わせはスペルト麦と内臓のリゾット。濃厚でした。このリゾットがお湯のみに入ってきたのはかなり斬新でした。

Risotto of Spelt and Umbles
ここまで来るとお腹もかなりいっぱいです。
続いてはHot & Iced Teaという面白い一品が運ばれてきました。そのまま飲むと熱いお茶と冷たいお茶の温度が口の中で交互に感じられる不思議なお茶!寒天のような凝固剤になるようなものを使いながら重力と温度の科学を利用した一品です。口の中の感覚が本当に不思議。
Hot and Iced Tea
デザートはルバーブのガレット。ヨーグルトとルバーブのシャーベットが添えられています。ガレットの上にルバーブのコンフィが縦に丁寧に並べられています。
何とファットダックのヘッドパティシエは日本人だそうです。この日は残念ながら海外のフェアに出ているとかでお休みでしたが・・・。

Galette of Rhubarb
こちらはチョコレートのケーキ。薄いチョコレートの膜の中にはクリームやチョコレートの生地が入っています。このデザートを食べる時にもテーブルにキルシュの香りがスプレーされました。本当に黒い森のケーキになります。
デザートはイギリス人の味覚に合わせているのか、少し甘みが強いように感じました。デザート部門は残念ながら感動はありませんでした。似たようなコンセプトのレストラン、ムガリッツのデザートは感動的だったことを思い出しました・・・。

The "BFG" -Black Forest Gateau-

続いてはA4サイズくらいのフレームが目の前に置かれます。このフレームの表面にはウィスキー味のグミが貼り付けられています。スコットランドとアメリカのウィスキーはありましたが、今世界から高い評価を受けている日本のウィスキーがなかったのがとても残念。ウィスキー好きには違いが分かるのかしら、と思いながら美味しく頂きました。
Whisk(e)y wine gums
いよいよ本日最後の一品になってしまいました。最後は思いっきり童心に帰らせてくれるお菓子袋。香りと共に楽しんで下さいとのこと。
"Like a Kid in a Sweet Shop"

中には4種類の過剰包装気味なお菓子が4種類入っています。みかんのゼリー入りエアチョコ、セロファンに包まれたアップルパイキャラメル(アップルパイの味のするキャラメル!)、


Apple Pie Caramel













ココナッツたばこ。こちらはタイのヤングココナッツをヤシ砂糖とココナッツミルクで12時間煮込みキャラメライズしたものをオーブンに入れたばこの葉で2日間燻製にしたものだそう。手がかかっています。

Coconut Baccy












こちらの封筒に入っていたのはトランプのカード、ホワイトチョコレートで出来ています。タルトの味です。この蝋のシールも食べることが出来ます。


The Queen of Hearts

楽しかったお食事もこれでおしまい。気がついたらすでに4時間も過ごしていました!エンターテイメントとしては、色々な演出があり、五感で料理を楽しむことが出来ました。何よりも4時間もいるのに全く飽きさせてくれません。お店の方もとても親切で、すばらしいサービスでした。一品一品のお料理は、様々な研究をして科学を追求したものだとは思いますが、完成品のお味に大きな感動がなかったのは残念。来て良かった!とは思いますが、もう一度リピートするかと言えば少し考えてしまうかもしれません。
いずれにせよ、楽しい時間をありがとうございました~!!!

2013年1月12日土曜日

Hibiscus (ロンドンレストラン)

本日はメイフェアにあるレストラン、Hibiscusに来ました。

Hibiscusは背広の語源となったことでも有名な仕立て屋通り、Savile Row近くにあります。





最近変わったばかりという内装は白と青を基調にした落ち着いたもの。

おつまみには中にチーズクリームの入った温かいプチシューが出てきました。塩加減も程よく美味しいです。

パンは2種類。バターも有塩と無塩の2種類です。

続いて卵の殻に入ったアミューズブッシュ。こちらはスモークされた鱈の香りとカレーの香りのハーモニーがすばらしい一品。

前菜は蟹のサラダ(左側)。しょうがクリームとTokyo Turnip(カブでした)添え。こぶみかんの葉の香りがエスニックな一品。私には家庭料理風に感じてしまいましたが、美味しかったです。右側はかぼちゃのヴェル―テ。ブルーチーズのアイスクリームが上に乗っています。酸味のきいたかぼちゃのピクルスが混じっていて美味しい一品でした。
こちらはメイン。左は鱈です。ソースは野生のマッシュルーム、ワイルドライスの手長エビとパルメザン風味。鱈の味とクリーミーなソースがとてもよく調和していました。右側はウズラです。酸味のきいたエルサレムアーティチョークのソースが絶妙でした。











デザートは思いがけずとても手の込んだものでした。左はさつまいもの”チーズケーキ”、オレンジソース。右は栗のパフェ、柿のソース。ちょっと和風な感じでした。
最後のプチフールは小さな小さなマドレーヌ、ブラックペッパー、シナモンとベリー。どれも特徴があって美味しかったです。そしてフカフカのチョコレート。

サービスもすばらしく大満足のランチでした。

2013年1月5日土曜日

William Curley (ロンドンショコラティエ)

ちょっと落ち着いた街並みのスローンスクエア駅周辺。おしゃれなカフェやお店が並んでいます。モーツァルトが小さな頃この周辺で宿泊していたらしく、小さな公園にモーツァルトの像を見つけました。
本日の目的は、ショコラティエのWilliam Curley。「ザ・アカデミー・オブ・チョコレート」で、ベスト・ブリティッシュ・ショコラティエも受賞しているそう。ウィリアムさんの奥さんは日本人だそうで、ここのショコラティエには日本を感じさせるユニークなチョコレートが沢山揃っています。


広くて明るい店内。


ケーキも充実しています。こちらのケーキは日本人にとっても程よい甘さと評判です。
素敵な飴細工もありました。



早速お持ち帰りして試してみることにしました。

今回頂いたのは、「日本の黒酢」、「アプリコット山葵」、「トマトとオリーブオイル」、「オリジナルミルク」と「抹茶」。他にも日本酒、ショウガ、ほうじ茶、ゆずを使ったものなどユニークなチョコレートが沢山。

栗の香りが優しいチョコレートケーキも頂きました。

チョコレートはこんなに沢山種類が揃えられています!
また少しずつ試してみたいと思います。

2013年1月3日木曜日

Clos Maggiore (ロンドンレストラン)

まだクリスマスのイルミネーションが美しいコベントガーデンでプレシアターのディナーを楽しみました。



















本日のレストランは色々なランキングでロマンチックなレストランのトップに輝くClos Maggiore



・・・でも案内されたのはロマンチックな桜の枝の下ではなく、その手前の席・・・。少し残念。












プレシアターのコースを頂きました。前菜はホタテ貝、リークのフォンデュ、キャビアと海藻バター。そして鴨のバロティーヌ(芯は鴨レバー)。
パリパリ野菜のサラダ。こちらはトリュフ風味のドレッシングで。


メインはスコットランドのサーモン、ランゴスティーヌのビスクと根菜。ポークのオーブン焼き。付け合わせには栗も入っていました。

デザートに頂いたのはバニラとレモンのパンナコッタ、冬のベリーのコンポート添え。いちじくのマフィンもついてきました。


食後のプチフール。

お料理は極めて普通でした。どちらかと言うと家庭料理風かも知れません。お値段は、物価の高いイギリスにしては、良心的なので、プレシアターやアフターシアターディナーには良いかもしれません。